【視察レポート】フランスの美食ルートでブルゴーニュワインを巡る旅(ブルゴーニュ地方/2025年3~4月視察②)

こんにちは! トラベルコンサルタントの関です。2025年3月、豊かな自然と歴史に彩られたブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏とオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏を訪れました。
今回は、各地方観光局さんのご協力のもと、「ヴァレ ド ラ ガストロノミー(Vallée de la Gastronomie)」という美食文化のルートの一部を視察してきましたので、その中からいくつかの体験をピックアップしてご案内いたします。

※地域圏(région)とは、日本の「都道府県」に近い行政区分のひとつで、フランス全土を13の地域圏と5つの海外地域圏に分けています。

フランスの美食文化を体験!

フランスの美食文化を体験!

「ヴァレ ド ラ ガストロノミー」は、美食をテーマにしたフランスの観光ルートのひとつです。ディジョン(ブルゴーニュ地方)からマルセイユ(南仏プロヴァンス)までを南北に結ぶ、美食文化のルートです。この地域は、世界的に評価されるワイン、チーズ、郷土料理、ミシュラン星付きレストラン、農家の直売所などが豊富で、フランスの“食”を深く楽しめるエリアとして知られています。

ヴァレ ド ラ ガストロノミーの魅力は、“ただ食べる”だけでなく、“食を通して旅をする”という体験型ツーリズムにあります。観光客は、地元の人々との交流や、食材の背景にある歴史、文化、風土にも触れることができます。

ヴァレ ド ラ ガストロノミーの魅力は、“ただ食べる”だけでなく、“食を通して旅をする”という体験型ツーリズムにあります。観光客は、地元の人々との交流や、食材の背景にある歴史、文化、風土にも触れることができます。

今回は、そんな「ヴァレ ド ラ ガストロノミー」のルートの中にあるブルゴーニュ地方やボジョレー地方のシャトーやワイナリー施設、レストランをご紹介したいと思いますが、その前にまず、ブルゴーニュワインについて解説します。

ピノ ノワールとは?

ピノ ノワール(Pinot Noir)は、フランスのブルゴーニュ地方原産の黒ブドウ品種で、世界中のワイン愛好家に親しまれている高貴な品種のひとつです。

■特徴
<果皮が薄く、繊細な品種>
果皮が薄いため、濃い色のワインにはなりにくく、比較的明るめのルビー色になります。また、病気や気候変化に弱く、栽培が難しいとされています。

<香りが華やかで複雑>
イチゴやチェリー、ラズベリーといった赤系果実に加え、スミレやバラなどの花の香り、熟成が進むとキノコや森の下草のようなニュアンスも出てきます。

<味わいは軽やかでエレガント>
タンニン(渋み成分)は控えめで、酸味がしっかりしているため、全体的に繊細でエレガントな味わいになります。

シャルドネとは?

シャルドネ(Chardonnay)は、世界中で広く栽培されている白ブドウ品種のひとつで、ワイン用白ブドウの中でも最も有名で人気のある品種のひとつです。

■特徴
<万能型の品種>
シャルドネは、その土地の気候や土壌、造り手のスタイルによって、驚くほど幅広い表情を見せるブドウです。冷涼な地域では、キリッとした酸味とミネラル感が、温暖な地域では、トロピカルフルーツのような豊かな果実味が出ます。

<アロマと味わい>
若いうちは、青リンゴ、レモン、柑橘類の香りが中心。樽熟成を行うと、バニラ、バター、トースト、ナッツといったリッチな風味が加わります。熟成によって蜂蜜やブリオッシュのような香りも現れます。

<ボディと酸味>
酸味がしっかりしていて、ボディはミディアム〜フル。造り方によって、軽やかなスタイルから濃厚で重厚なスタイルまで幅広いタイプが楽しめます。

プルミエ クリュとは?

プルミエ クリュ(Premier Cru)とは、フランスのブルゴーニュ地方で特に質の高い畑に与えられる、一級畑の称号です。ワインの香りや味わいが優れており、同じ村の一般的な畑のワインよりも上のクラスとされています。村名と畑名とともに、ラベルに表示されることが多く、ワンランク上のブルゴーニュワインを楽しみたいときにおすすめです。

「シャトー ド シャミレイ(Château de Chamirey)」は、フランスのブルゴーニュ地方のコート シャロネーズ地区、メルキュレイ村にある歴史あるワイナリーです。ブドウ畑は、合計37ヘクタールで、主に赤ワイン用のピノ ノワール(27ヘクタール)と、白ワイン用のシャルドネ(10ヘクタール)を栽培しています。

この地域は、石灰質や粘土質の土壌に恵まれ、日照量も適度で、ブドウの熟成に最適な気候です。畑のうち15ヘクタールは、上級格付けのプルミエ クリュで、特に、レ ルエル(Les Louères)とラ ミッション(La Mission)は、シャトーが単独所有する貴重な畑(モノポール)とのことです。

代表的なワインは、赤の「メルキュレイ プルミエ クリュ レ ルエル(Mercurey 1er Cru “Les Ruelles”)」や、白の「メルキュレイ プルミエ クリュ ラ ミッション(Mercurey 1er Cru “La Mission”)」などで、どちらも豊かな香りと上品な味わいが特徴です。ワイン初心者でも楽しみやすい、エレガントで親しみやすい味わいが魅力です。

シャトー ド シャミレイ

シャトー ド シャミレイ

ワイナリーツアースタートです♪

ワイナリーツアースタートです♪

広がるブドウ畑

広がるブドウ畑

ブドウ畑、施設の見学後にティスティング

ブドウ畑、施設の見学後にティスティング

チェリーのようなフルーティーな香り、軽くて上品でありながら、しっかりとした酸味も感じられるワインでした♪

チェリーのようなフルーティーな香り、軽くて上品でありながら、しっかりとした酸味も感じられるワインでした♪

シャトー ド シャミレイでは、ブルゴーニュ特有の涼しい気候と石灰質の土壌が、育てるのが難しいピノ ノワールに適していることを知り、とても興味深い見学になりました。繊細なぶどうを丁寧に育ててつくられたワインは、その背景を知ることで、より一層味わい深く感じられました。

「シテ デ クリマ エ デ ヴァン(Cité des Climats & des Vins)」は、ブルゴーニュ地方のマコンにあり、ブルゴーニュワインの魅力や“クリマ(Climats)”と呼ばれる独自の区画文化を、体験しながら学べるワイン文化施設です。同様の施設がマコンのほか、ディジョン、ボーヌ、シャブリにもあり、それぞれの地域特性を活かした展示やテイスティング、ワークショップが用意されています。

私が見学したマコンの施設は、最新のデジタル技術を活用した没入型の展示が特徴で、初心者から愛好家まで幅広く楽しめる内容となっています。ブルゴーニュワインの背景にある気候、地質、歴史、造り手たちの情熱を総合的に学ぶことができる場として、多くの観光客やワインファンに親しまれています。

シテ デ クリマ エ デ ヴァン

シテ デ クリマ エ デ ヴァン

プロジェクションマッピングを活用し、視覚的にエリアや気候の特徴を理解できます

プロジェクションマッピングを活用し、視覚的にエリアや気候の特徴を理解できます

ストロベリーやハチミツ、土や皮といったワインの香りを構成するさまざまな要素を、嗅覚に集中して体験することができます

ストロベリーやハチミツ、土や皮といったワインの香りを構成するさまざまな要素を、嗅覚に集中して体験することができます

マコンは、ブルゴーニュ南部に位置し、爽やかでフルーティーな白ワインの産地として知られています

マコンは、ブルゴーニュ南部に位置し、爽やかでフルーティーな白ワインの産地として知られています

かわいらしいカナッペと共にいただきます♪

かわいらしいカナッペと共にいただきます♪

ブルゴーニュのワインと土地のつながりを、とてもわかりやすく教えてくれる場所でした。

プロジェクションマッピングで気候や地形の変化が見られ、ワインがどう影響を受けるかが実感できます。香りをじっくり嗅ぎわけられる体験もあり、ストロベリーやハチミツ、土や皮など、ワインの香りの細かい違いを感じられておもしろかったです。ワインの背景にある自然や歴史も学べて、とても充実した時間を過ごせました。

「ラ ロッシュ ド ソリュトレ(Roche de Solutré)」は、マコンの南西に位置する、高さ約490mの石灰岩の岩山です。なだらかなブドウ畑の中に、突き出すようにそびえ立つその姿は非常に印象的で、地域の象徴的な景観のひとつとなっています。

周辺一帯は、白ワインの名産地、プイィ フュイッセ(Pouilly-Fuissé)などのワイン産地としても知られており、美しい自然と豊かなワイン文化が融合したエリアです。考古学的にも重要な場所で、旧石器時代の遺跡が発見されており、歴史的な背景も持ち合わせています。

ハイキングコースとしても人気があり、岩山の頂上からは、マコンの町やブドウ畑が広がる美しいパノラマを一望できます。自然、歴史、ワインが交差するこの場所は、訪れる人々に豊かな体験を与えてくれます。今回は、そんな自然と文化が調和したこの岩山で、気持ちのよいワインハイキングを楽しんできました。

ラ ロッシュ ド ソリュトレ

ラ ロッシュ ド ソリュトレ

出発!

出発!

ハイキング中に見渡せる広がるワイン畑と街並み

ハイキング中に見渡せる広がるワイン畑と街並み

山頂に到着♪

山頂に到着♪

自然と暮らしが織りなす美しい風景を眺めながら、ゆったりとワインを楽しみます

自然と暮らしが織りなす美しい風景を眺めながら、ゆったりとワインを楽しみます

ワインハイキングは日本ではなかなか体験できない貴重な経験でした

ワインハイキングは日本ではなかなか体験できない貴重な経験でした

ラ ロッシュ ド ソリュトレのワインハイキングは、自然と歴史、ワイン文化が見事に調和した素敵な体験でした。山頂で味わうワインは格別で、美しい景色とともに心に残る時間となりました。

フランスのボジョレー地方(オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏内)のベルビル アン ボジョレーの町に位置する「ラ メゾン デ ボジョレー(La Maison des Beaujolais)」は、地域の豊かなワイン文化を体験できる施設です。1952年に地元のワイン生産者によって設立され、ボジョレーワインの多様性と魅力を広く紹介しています。

ボジョレーワインとは、フランスのボジョレー地方で生産されるワインのことを指します。主にガメイ種というブドウを使って造られ、軽やかでフルーティーな味わいが特徴です。赤ワインが中心で、特に毎年11月に解禁されるボジョレーヌーボーは、新酒のフレッシュさを楽しむために世界中で親しまれています。飲みやすく、若いうちに楽しむワインとして人気があります。

施設内には、世界最大級のボジョレーワインセラーがあり、600種類以上のワインを取りそろえているのが大きな特徴です。ここでは、ワインの試飲だけでなく、地元の新鮮な食材を使った料理とのペアリング体験も楽しめ、レストランの評価も高く、訪れる人々にとって満足度の高い時間を提供しています。

また、ボジョレーワインの歴史や特徴についての詳しいガイダンスも受けられ、知識を深めたい方にも最適です。私たちはワインの魅力についての説明を聞いたあと、目隠しされた黒いワイングラスを使ってワインの色や年代を当てる“利きワイン体験”を楽しみました。この体験は、ボジョレーワインの奥深さを実感できる貴重な機会となりました。

ラ メゾン デ ボジョレー

ラ メゾン デ ボジョレー

ボジョレーワインについてのガイダンスをうけます

ボジョレーワインについてのガイダンスをうけます

各メニューに合わせて、ぴったりのワインをペアリングしてくれます

各メニューに合わせて、ぴったりのワインをペアリングしてくれます

北欧風のサーモンのマリネ ライトレモンクリーム添え

北欧風のサーモンのマリネ ライトレモンクリーム添え

ドンブ産鴨のフィレ ヴレ地方産スペルト小麦のリゾット添え

ドンブ産鴨のフィレ ヴレ地方産スペルト小麦のリゾット添え

グラン クリュ チョコレートのアントルメ コーヒー風味のアングレーズソース添え

グラン クリュ チョコレートのアントルメ コーヒー風味のアングレーズソース添え

オーセンティックなフランス料理と、それぞれの料理に絶妙に寄り添うワインのペアリングが生み出す相乗効果により、味覚だけでなく、心にも残る豊かなランチ体験となりました。料理とワインが互いを引き立て合い、この地域ならではの食文化の奥深さを改めて感じさせてくれるひとときでした。

関 啓吾

トラベルコンサルタント 関 啓吾

今回の視察では、「ヴァレ ド ラ ガストロノミー(美食の谷)」のルートに沿って、ブルゴーニュからボジョレー地方にかけてのワイナリーや食文化に触れました。各地で訪れたワイナリーでは、単にワインを味わうだけでなく、その土地の気候や土壌、そして何世代にもわたって守られてきた伝統的な醸造技術についても学ぶことができました。

シャトーやワイン施設の見学、テイスティング、地元食材とのペアリングランチ、利きワイン体験など、五感を通じてワインの奥深さと文化的背景に触れる体験は、非常に印象深いものでした。

“食”を中心に、風土、歴史、人との出会いが重なり合うこのルートは、まさに“美食文化を旅する”というコンセプトにふさわしく、フランスが誇る食とワインの魅力を、あらためて実感する視察となりました。

フランス旅行のご計画は、ぜひティースタイルにご相談ください。


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