【視察レポート】歴史と美食が交差する古都リヨンを散策(フランス/2025年3~4月視察①)

こんにちは! トラベルコンサルタントの関です。2025年3月、豊かな自然と歴史に彩られたブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏とオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏を訪れました。
今回は、オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏に位置する美食の都・リヨンの魅力をご紹介いたします。

※地域圏(région)とは、日本の「都道府県」に近い行政区分のひとつで、フランス全土を13の地域圏と5つの海外地域圏に分けています。

オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地方、リヨンの街並み

オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地方、リヨンの街並み

リヨンの街並みのオブジェ。ソーヌ川とローヌ川が交わるリヨンの街並み

リヨンの街並みのオブジェ。ソーヌ川とローヌ川が交わるリヨンの街並み

2つの川が織りなす風景が、都市に独特の魅力を与えています

2つの川が織りなす風景が、都市に独特の魅力を与えています

リヨンは、伝統的な郷土料理から洗練されたフランス料理まで、多彩な美食文化が根付く街として知られています。地元食材を生かした家庭的な「リヨネーズ料理」が豊富で、そうした料理を気取らない雰囲気で楽しめるビストロ「ブション」も数多くあります。

また、ポール ボキューズをはじめとする、名シェフたちを輩出した地としても有名で、ミシュラン星付きレストランも多く、美食の都としての評価を確立しています。

また、ポール ボキューズをはじめとする、名シェフたちを輩出した地としても有名で、ミシュラン星付きレストランも多く、美食の都としての評価を確立しています。

ブションとは?

ブションとは、リヨンに多く見られる家庭的で素朴な料理を提供する、小さなレストランのことです。昔ながらの郷土料理を、気取らない雰囲気の中で楽しめるのが特徴で、地元の人々にも親しまれています。

ポール ボキューズとは?

ポール ボキューズは、フランス料理界を代表する伝説的なシェフで、ヌーヴェル キュイジーヌ(新しい料理)の旗手として知られています。

素材の持ち味を大切にした、軽やかな料理スタイルで世界に影響を与え、リヨン郊外にある自身のレストラン「オーベルジュ デュ ポン ド コレージュ(Auberge du Pont de Collonges)」は、長年ミシュラン3つ星を獲得してきました。美食の都リヨンの名声を高めた立役者のひとりです。

美食の都として親しまれているリヨンについてご紹介してきましたが、今回私たちは、リヨンを代表する伝統的なブションである「ダニエル エ ドゥニーズ(Daniel & Denise)」にて、リヨン名物のひとつである、「パテ アンクルート(パイ生地で包んだパテ)作り」の職人技を見学してまいりました。

2004年にM.O.F.(フランス国家最優秀職人賞)を受賞し、リヨンの郷土料理を現代に伝える第一人者として知られているシェフ、ジョゼフ・ヴィオラ氏による職人技を間近で体験し、パテ アンクルートの秘密を目の当たりにしてきました。

2004年にM.O.F.(フランス国家最優秀職人賞)を受賞し、リヨンの郷土料理を現代に伝える第一人者として知られているシェフ、ジョゼフ・ヴィオラ氏による職人技を間近で体験し、パテ アンクルートの秘密を目の当たりにしてきました。

ミシュラン星付きシェフ、ジョセフ ヴィオラ氏が手がける、伝統的なリヨン料理のレストラン「ダニエル エ ドゥニーズ」。リヨン名物のクネル(魚のすり身料理)やシャルキュトリー(ハムやパテなど)、濃厚なソースを使った郷土料理など、本格的な“リヨネーズ料理”を気軽に味わえる名店として人気です。クラシックなブションの雰囲気と、洗練された味わいが共存する1軒です。

このレストランは、リヨン市内に複数の店舗を展開しており、特に、ダニエル エ ドゥニーズ クレキ(Daniel & Denise Créqui)は、ミシュランガイドで高い評価を受けています。​ヴィオラ氏の代表作である、フォアグラとリードヴォーを使ったパテ アンクルートは、2009年に世界選手権で優勝するなど、数々の賞を受賞しています。

ダニエル エ ドゥニーズ。こぢんまりとしたたたずまいながら、随所にこだわりと歴史を感じられる、とても趣のある素敵なお店です

ダニエル エ ドゥニーズ。こぢんまりとしたたたずまいながら、随所にこだわりと歴史を感じられる、とても趣のある素敵なお店です

たくさんの種類の自家製のテリーヌも販売されております

たくさんの種類の自家製のテリーヌも販売されております

パテ アンクルートとは、味付けしたひき肉やフォアグラ、リードヴォー(仔牛の胸腺)などを詰め物にし、それをパイ生地で包んでオーブンで焼いたフランスの伝統料理です。

切り口には美しい断面が現れ、前菜として提供されることが多く、見た目も味も華やかな1品です。パイの焼き加減と具材の火入れのバランス、そして切り口の美しさまで、細やかな技術が求められる、奥深い料理です。

切り口には美しい断面が現れ、前菜として提供されることが多く、見た目も味も華やかな1品です。パイの焼き加減と具材の火入れのバランス、そして切り口の美しさまで、細やかな技術が求められる、奥深い料理です。

2009年から毎年、権威ある料理コンテストであるパテ アンクルートの世界大会「世界パテ クルート選手権(Championnat du Monde de Pâté-Croûte)」がリヨンで開催されております。近年、日本人シェフの活躍が目覚ましく、何度か優勝されていることをご存じでしょうか?

2024年大会では、東京の帝国ホテル「レ セゾン」の真野大貴シェフが、鴨肉、フォアグラ、豚肉、リードヴォー、ピーマンを使用し、金箔をあしらったパテ アンクルートで優勝されたこと、ジョセフ ヴィオラ氏もお話しされておりました。

パテ アンクルート作りについてご紹介するにあたり、「パテ」と「リエット」、「テリーヌ」はどう違うのかが気になり、簡単に調べてみました。

パテは、レバーや肉を細かく刻んだりすりつぶしたりして香辛料などと混ぜ合わせ、焼いたり冷やしたりして仕上げる伝統的な料理です。なめらかなものや、粗挽きのものがあり、パンとともに前菜としてよく食べられます。

リエットは、豚肉や鴨肉を脂でじっくり煮込み、繊維状になるまでほぐして脂と混ぜ合わせた保存食で、ざらっとした食感が特徴です。こちらもパンに塗って気軽に楽しめます。

テリーヌは、パテと似ていますが、テリーヌ型と呼ばれる容器で蒸し焼きにしたり、冷やし固めたりして作られる料理です。肉や魚、野菜など、幅広い素材で作られ、層状の断面が美しく、現代フレンチの定番前菜としても人気です。

パテ アンクルートは、パテをパイ生地で包んで焼き上げた料理で、見た目も華やか。断面の美しさ、サクサクとした生地としっとりした中身の対比が魅力です。

まずは、パテ アンクルートの型にバターを塗っていきます

まずは、パテ アンクルートの型にバターを塗っていきます

事前に準備していたパイ生地を型にはめていきます

事前に準備していたパイ生地を型にはめていきます

ファルスと呼ばれる詰め物を入れていきます

ファルスと呼ばれる詰め物を入れていきます

塩、コショウでマリネしたフォアグラも中に入れていきます

塩、コショウでマリネしたフォアグラも中に入れていきます

詰め終わったら、パイ生地で蓋をしていきます

詰め終わったら、パイ生地で蓋をしていきます

その後、ジュレを流し込む穴をくり抜きます

その後、ジュレを流し込む穴をくり抜きます

焼きあがったパテ アンクルートの中にジュレを流し込みます

焼きあがったパテ アンクルートの中にジュレを流し込みます

きれいな断面。濃厚で繊細なパテとサクサクのパイ生地が絶妙なバランスでとてもおいしかったです♪

きれいな断面。濃厚で繊細なパテとサクサクのパイ生地が絶妙なバランスでとてもおいしかったです♪

自分にも作れるのでは?と思ってしまうほど、魔法のように手際よく、そしてていねいに仕上がっていく様子に感激しました。清潔に保たれた厨房からは、職人の誇りと魂が感じられました。パテ アンクルートに秘められた、奥深い物語に触れることができ、食への理解が一段と深まる貴重な体験となりました。

お店のネームカード

お店のネームカード

ジョセフ ヴィオラ氏の著書

ジョセフ ヴィオラ氏の著書

リヨンにお越しの際は、ぜひ1度、足を運んでみてはいかがでしょうか

リヨンにお越しの際は、ぜひ1度、足を運んでみてはいかがでしょうか

ダニエル エ ドゥニーズ 公式HPはこちら

また、リヨンはかつて“絹の都”として栄え、16世紀から19世紀にかけて、フランス随一の絹織物産業の中心地でした。今でも旧市街には、当時の織物職人の工房跡や、絹織物を移動させるために利用していたと考えられる「トラブール(Traboules)」と呼ばれる細い抜け道が残され、街歩きの楽しみとなっています。

なんの変哲もないドアですが、これが抜け道であるトラブール

なんの変哲もないドアですが、これが抜け道であるトラブール

トラブールから見上げた景色。こういった抜け道が旧市街にはたくさんございます

トラブールから見上げた景色。こういった抜け道が旧市街にはたくさんございます

フルヴィエールの丘へと向かうケーブルカーが行き着く頂上には、美しいノートルダム大聖堂が待っています。一般的に、ノートルダム大聖堂として親しまれておりますが、正式名称は、「ノートルダム・ド・フルヴィエール大聖堂(Basilique Notre-Dame de Fourvière)」です。

リヨンを見下ろすフルヴィエールの丘に建つノートルダム・ド・フルヴィエール大聖堂は、19世紀末に建てられた美しい白亜の教会で、リヨンの街を見守る、象徴的な存在です。

ビザンチン様式とロマネスク様式が融合した独特の壮麗な建築で、歴史を感じさせる壮大な鐘楼が、街のシンボルとなっています。内部のモザイク装飾や、ステンドグラスも見事です。展望台からは、リヨンの街並みを一望でき、観光客にとっても人気のスポットです。

フルヴィエールの丘へと向かうケーブルカー

フルヴィエールの丘へと向かうケーブルカー

ノートルダム ド フルヴィエール大聖堂

ノートルダム ド フルヴィエール大聖堂

リヨンの街を見渡す壮大な鐘楼

リヨンの街を見渡す壮大な鐘楼

ビザンチン様式とは?

ビザンチン様式とは、東ローマ帝国(ビザンチン帝国)の美術や建築に見られるスタイルで、5世紀から15世紀にかけて発展しました。特徴としては、円形やドーム型の天井、大きなモザイクや装飾的な壁画、黄金や鮮やかな色使いが挙げられます。ビザンチン様式は、宗教的な要素が強く、特に教会や大聖堂に多く見られます。

ロマネスク様式とは?

ロマネスク様式とは、9世紀から12世紀にかけてヨーロッパで広まった建築様式で、主に教会や修道院に見られます。特徴としては、厚い石壁、丸いアーチ、大きな柱、窓が小さめで重厚感があることが挙げられます。また、壁には聖書の物語を描いた壁画や彫刻が施され、宗教的な意味合いが強い建築スタイルです。

関 啓吾

トラベルコンサルタント 関 啓吾

今回は、美食の都リヨンにて、私が現地で体験した街歩きやノートルダム ド フルヴィエール大聖堂の見学、さらにパテ アンクルートの作りのデモンストレーションの様子をレポートとしてお届けいたしました。

美食の都として名高いリヨンにご興味をお持ちの方、フランス旅行のご計画は、ぜひティースタイルまでお気軽にご相談ください♪


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