

Rhône-Alpes REPORTローヌ=アルプ地方 視察ブログ
【視察レポート】ミシュランシェフ、ジョルジュ・ブランの真髄に触れる美食の村ヴォナへの旅(フランス・ローヌ=アルプ地方/2025年3~4月視察③)
こんにちは! トラベルコンサルタントの関です。2025年3月、豊かな自然と歴史に彩られたブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏とオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏を訪れました。
今回は、オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏にあり、“美食が息づく村”として知られるヴォナ(Vonnas)と、その中心となるレストラン「ジョルジュ・ブラン」についてご紹介します。
※地域圏(région)とは、日本の「都道府県」に近い行政区分のひとつで、フランス全土を13の地域圏と5つの海外地域圏に分けています。
◆ヴォナについて
ヴォナは、フランス東部のブルゴーニュ地方とオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地方の境界近くに位置する村で、マコンから南へ約20km、リヨンからも車でおよそ1時間というアクセスの良さが魅力です。パリからは、TGV(高速鉄道)でマコン ロシェ駅まで約1時間40分、そこから車で約30分と、パリから日帰りや週末旅行も可能な距離です。
ヴォナは、なだらかな田園風景と豊かな自然に囲まれており、のどかで穏やかな雰囲気が漂います。古くから農業や、ニワトリやカモなどの家禽(かきん)の飼育が盛んで、特に「ブレス鶏(プーレ ド ブレス)」の名産地としてその名を馳せています。
こうした食文化の歴史と伝統が、のちに“美食が息づく村”としてのヴォナの個性を形作っていきました。おいしいものを求めて訪れる旅人にとって、まさにフランスの食の豊かさを体感できる特別な場所です。

ヴォナ
◆ジョルジュ・ブランの美食村とは?
ミシュランシェフのジョルジュ・ブランとその家族が代々営んできたレストラン「ジョルジュ・ブラン」は、まさに美食の村ヴォナとは切り離せない存在です。彼の情熱とともに、少しずつ“美食の村”へと形を変えてきました。
ヴォナの静かな風景の中に、彼のレストランやホテル、ビストロ、ブティックが点在し、村全体がひとつの大きな美食の舞台のようになっています。実際に訪れてみると、ヴォナそのものがジョルジュ・ブランの世界観を体現していて、彼の想いと地域の魅力が見事に調和していることを感じました。食を通して村に命が吹き込まれているような、そんなあたたかさが印象的でした。

ジョルジュ・ブランの美食村

身近に緑を感じることのできる公園

建物の壁には、ジョルジュ・ブランの家族の歴史が紹介されています

家族が経営するレストランもあります

お肉好きにはうれしい、高級なお肉を間近で楽しめるユニークな席もあります
◆クッキングデモンストレーション(料理の実演)
今回は、現場で活躍されているフレデリックシェフが魅せる匠の技、「クッキングデモンストレーション」を見せていただき、とても貴重で楽しい体験になりました。 見せていただいた料理は、「プーレ・ド・ブレス・ア・ラ・クレーム」。フランスのブレス地方の高級地鶏、ブレス鶏を使ったクリーム煮込みで、ブルゴーニュ地方を代表する伝統料理です。
この料理の原点を築いたのは、名シェフ、ジョルジュ・ブランの祖母、エリザ・ブラン(通称メール・ブラン)。彼女は、“家庭のぬくもり”と“プロの技”を絶妙に融合させたレシピで、素朴ながら洗練された“ブルゴーニュの味”を確立しました。
白ワイン、生クリーム、マッシュルームを使って、丁寧に煮込まれた一皿は、豊かなコクと香りが広がり、どこか懐かしく、同時に贅沢な味わい。シンプルなのに深い…そんなフランスらしさを感じさせる逸品です。

今回担当していただいたフレデリックシェフ

高級地鶏、ブレス鶏にたっぷりのバターとオリーブオイルを塗りこみオーブンへ

マッシュルームを炒め、白ワイン、生クリームを加え煮込んでいきます

煮込んだホワイトソースをこしていきます

焼きあがったブレス鶏とホワイトソースを合わせて、完成

祖母のレシピをアレンジしたクレープは、たっぷりのバターを惜しみなく使って仕上げられます

クレープに少しの砂糖をまぶして、完成!
ひと口目で感じたのは、まろやかなクリームの中に広がるブレス鶏の繊細なうま味。柔らかくジューシーな肉質と、ソースのコクが見事に調和していて、とても奥深い味わいでした。
◆美食と癒やしの特別な空間「オテル ジョルジュ ブラン パルク エ スパ」
「オテル ジョルジュ ブラン パルク エ スパ Hôtel Georges Blanc Parc & Spa」は、ヴォナにある高級ホテルで、ミシュランスターシェフとして知られるジョルジュ・ブランが手がける美食の村の中心に位置しています。敷地内には、ミシュラン2つ星の本格レストランをはじめ、ビストロ、スパ、ブティックなどが点在し、訪れる人に美食と癒やしを提供する、特別な空間が広がっています。
豊かな自然に囲まれた静かな環境の中、グルメと宿泊をゆったりと楽しめる、まさに“食を味わうためのリゾート”と呼ぶにふさわしいホテルです。

数々の受賞歴があるホテルです!

この村のシンボルともいえる、ブレス鶏がたくさん

ミシュランマンのコレクションがずらりと並んでおります
*お部屋のご紹介
落ち着いた雰囲気の「クラシックルーム」(24㎡)は、フランスらしいエレガントなインテリアでまとめられていて、アンティーク風の家具や上質な素材が使われています。広さもゆとりがあり、庭園の景色を眺めながらリラックスできる空間です。まるで静かな田舎の邸宅にいるような、自然体でくつろげるお部屋です。

ところどころに散りばめられている、ビビッドなカラーが印象的です

バスローブにもシンボルともいえるブレス鶏が刺繍されております
*レストランのご紹介
ホテルに併設された「ジョルジュ・ブラン」は、格式高いレストランで、現在はミシュラン2つ星を獲得しています(かつては3つ星)。その歴史は古く、1929年にジョルジュ・ブランの祖母、エリザ・ブランが星を獲得して以来、代々受け継がれてきました。
料理には、地元ブレス地方の名物であるブレス鶏や、伝統的なクレープ・ヴォナッシエンヌなどが登場。伝統の味にモダンな感性を加えた一皿一皿は、まさに“食の芸術”といえるような完成度です。約14万本を貯蔵する圧巻のワインセラーも魅力で、料理に合わせたペアリングを提案してくれるソムリエの存在も頼もしいポイントです。
営業は週末中心(木曜の夜と金〜日の昼夜 ※2025年3月視察時)で、静かな田舎町ヴォナの中で、ホテルやビストロと共に、極上の美食体験が楽しめます。料理を味わうためだけにこの町を訪れる価値がある、そんな特別なレストランです。

アペリティフの牡蠣とチョコレートケーキのように濃厚なパテ

ムーラン・ド・レットルのトラウトとブレス産サフランの香るスパイシーソース

ブレス産若鶏のシュープリーム ミルクマリネ仕立て

ブレス風とうもろこし 爽やかなコーンとプラリネクリーム ゴードのチュイル添え
どの料理も、洗練された盛り付けで目を楽しませてくれるだけでなく、ひと口ごとに味わい深さを感じられる素晴らしい仕上がりでした。特に、この村の名産であるブレス産若鶏の一品は、素材の良さが存分に引き出されていて、まさに絶品と呼ぶにふさわしい味わいでした。

ホテルの廊下からは、シェフたちがまるで魔法のように料理を仕上げていく様子を間近に楽しめます

トラベルコンサルタント 関 啓吾
ヴォナにあるジョルジュ・ブランの美食村を訪れて特に印象に残ったのは、“食”を中心に据え、村全体が心地よくデザインされていることでした。ジョルジュ・ブランの料理はもちろんのこと、空間やサービス、素材の選び方に至るまで、すべてに“上質な体験”への強いこだわりが感じられます。
ヴォナは、単なる観光地ではなく、フランス美食文化の深さと誇りを五感で味わえる特別な場所です。おいしいものが好きな方や、美しさと静けさを求める方に、ぜひ1度訪れていただきたい村です。
フランス旅行のご計画は、ぜひティースタイルにご相談ください。
トラベルコンサルタント 関 啓吾のご紹介